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以下、2014年6月号です。



【目次】
  1. 3.11原発報道の問題点とトランセンド研究会の課題〜報道されていること、されていないこと〜  (トランセンド研究会会長いとうたけひこ)
  2. トランセンド研究』第12巻第1号の編集を終えて(編集長 藤田明史)
  3. 事務局より


【1】3.11原発報道の問題点とトランセンド研究会の課題

〜報道されていること、されていないこと〜

 

(トランセンド研究会会長 いとうたけひこ)

  

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【2】『トランセンド研究』第12巻第1号の編集を終えて

 (編集長 藤田明史)

 

事務局から今号の『トランセンド研究』の編集が終わった段階で何か感想を書いてほしいとの要望があったので、あらためて私にとって、この仕事はどんな意味をもっているのかを考えた。

6月と12月の年2回の発行だから、発行月とその前月、年にして少なくとも4か月は編集作業にかなりの時間を取られる。編集責任者として投稿論文をできるだけ綿密に読むことを自分に課しているから、精神的にも負担はかなり大きい。しかも、直接の金銭的な報酬は何もない。こんな割の合わない仕事をなぜしているのだろう? まず、第1の理由は私にとって明らかだ。トランセンド研究会は、平和的価値に基礎付けられた、人と人とのゆるやかな関係から構成された社会的に意味のあるネットワークだと確信しているからである。そして、研究や実践の記録と蓄積のためには、『トランセンド研究』の発行は不可欠であり、ゆえに、研究会の存続のためには、誰かがその仕事を担わねばならない。しかし、ここで書いておきたいのは、私にとってより重要な第2の理由である。

それは、私にとってこの仕事が楽しいからである。一体、何がそんなに楽しいのかと問われても、かなり複雑で、うまく説明できない。しかし、それがあるからこそ次の号もやってみようという気持ちにさせる何かである。それは、ゴーゴリの『外套』1の主人公がもつ「愉しさ」に通じるものかもしれないとふと感じた――それが幸福か不幸かは別にして。

下級官吏のアカーキイ・アカーキエヴィッチの仕事は写字である。彼は十年一日のごとくにこの仕事をしている。しかし彼には、「写字という仕事の中に、千変万化の、愉しい一種の世界が見えていた」のである。同僚が彼の仕事を中断させようと悪戯をしても、「構わないで下さい! 何だってそんなに人を馬鹿にするんです?」と言うくらいに、彼は仕事に誇りをもち、上司にも同僚にも迎合せず、周囲から自立している。彼のこうした平和な生活は、ペテルブルグの容赦ない寒さから、擦り切れた外套の新調(それは彼の人生にとって大きな出来事であった)を余儀なくされたことを契機に、悲劇に転じる。新調した外套が盗まれたのだ。有力者に捜査を直談判に行ったところが逆に、生涯に一度としてこんなに叱責されたことがなかったほどに叱責され、吹雪の中を、全身をわなわな顫わせて帰ったため高熱に侵され、あっさりと死んでしまう。彼の「愉しみ」に一体どういう意味があったのだろうか?

人生とはこんなものだと諦めることもできるかもしれない。こうした諦観に深い意味を見出すことさえできるかもしれない(鷗外のresignationは?)。しかし『外套』の作者は、より深い意味をそこに見ているようだ。というのは、新任の青年が同僚に倣って、アカーキイ・アカーキエヴィッチを揶揄しようとしたものの、何か急に胸を突かれ、それを中止し、それ以来、この若者の眼には「凡てが一変して、前とは全然別なものに見えるようになった」ことを書き込んでいるからである(主人公の死後、盗まれた外套を探しに出る幽霊がかえって生き生きしているのは、この指摘があるからこそであろう)。

トランセンドの活動の愉楽が単に自己満足に終わらず、社会的に意味のある、すなわちその活動が人々の中に新しい潜在的な行動を喚起するものであるための条件は何か。少なくとも2つの条件が必須であろう。第1に、日常の生活(マックス・ウェーバーの言う「日々の要求」2)に根差していること、第2に、持続的であることである。われわれの活動がこれら2条件を満たすならば、そこからは「超越と転換」3の必要性がより人々に意識され、その時々の政治的・経済的擾乱に惑わされない、真に平和と呼びうる全く新しい人と人との関係が形成されることであろう。

『トランセンド研究』の創刊は20033月であった。もう10年以上の時間が経過した。私の希望は、この雑誌(伝達媒体)が10年後にも依然として発行されていることである。十年一日のごとく。その時、世界はどうなっているだろうか? より良い世界の実現に向けて、私は私のできることを地道に行っていきたいと思っている。

 

注:

1.ゴーゴリ『外套・鼻』、平井肇訳、岩波書店。

2.マックス・ウェーバー『職業としての学問』、尾高邦雄訳。岩波書店。

3.ヨハン・ガルトゥング『ガルトゥング紛争解決学入門』、藤田・奥本監訳、トランセンド研究会訳、法律文化社、近刊(2014.8予定)。

 

【3】事務局より

■ニュースレター2015年冬号について

 トランセンド研究ニュースレター2015年冬号(20151月配信予定)は特大号とし、論稿をいつもより多く取り上げます。

2015年冬号のニュースレターをお楽しみにお待ち下さい。

 

■トランセンド研究誌

 第12巻第1号が今月末に発刊されます。今回の論稿で編集長からトランセンド研究誌がどのような位置づけで活動の一環となっているのか述べられています。本研究会では、年2回研究会誌「トランセンド研究」を発行しています。ガルトゥングの論文をはじめ、様々なワークショップの報告や、会員執筆論文などを読むことができます。

トランセンド研究会誌の詳細につきましては、当研究会ホームページの研究会誌をご確認下さい。


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